はじまりは、あの日のせりあがり ~前日譚~
コロナに振り回された2020年。
「少しでもいい年になりますように」と願った初詣の帰り際に
引いたおみくじは小吉。
”晴れ渡る 月の光に うれしくも 行く手の道の さやかなりけり”
―闇くて見えない道も 月がさし初め 明るくなるが如く
幸福次第に加わる運ですから慌てず騒がず静かに身を守って
進むべき時に進んで 何事も成就すべし―
そんな詩が添えられていた。
この時の私はまだ知らない。
次第にどころか1週間後に強烈な光を容赦なく浴びることを。
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普段の私は春夏秋冬を名に冠する劇団に軸足を置いて、目当ての方が出演されれば日比谷界隈・オーブなどにも公演中1回は観に行くような多分、ごくごく一般的なミュヲタの1人だ。
しかし、これまで宝塚にはほとんどご縁がなく、学生時代に”いつめん”の1人がガチのヅカヲタで、その子に連れられて行ったのが初めての宝塚だった。
『ルパン -ARSÈNE LUPIN-』『Fantastic Energy!』 | 月組 | 宝塚大劇場 | 宝塚歌劇 | 公式HP (hankyu.co.jp)
座席は今も忘れぬ2階1列センター。ありがたみが今ならすごくわかるけれど、この時は「なんだかすごい世界だった」とプログラムだけはしっかり買って帰ってきたくせに、沼落ちには繋がらなかった。
時を経て昨年10月、ミュヲタ兼ディープなヅカヲタの友人から「今ならチケット取りやすいと思うよ」と助言を受け、ご縁あって2階の端っこで観たのが花組公演 『はいからさんが通る』 | 宝塚歌劇公式ホームページ (hankyu.co.jp)である。
幕間入った瞬間「少尉…生きて…(´;ω;`)」とびっしょびしょになったマスクを変えるほど入り込んで観劇した久々の宝塚は、やはり華やかで「すごい世界」。
俯瞰で観ているから、キラキラした別世界を上からの覗き見ているような。
それが私が宝塚を観るときの感覚であり見え方だった。
この時までは。
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普段から情報を集めていたわけではないけれど私は、冬に宝塚版アナスタシアが東京で上演されることを知っていた。
なぜか。
2020年3月、梅芸版で日本初演として上演されたアナスタシアでディミトリとして出演されていた方のコンサートに行った時のMCで
毎回丁寧に宝塚版アナスタシアの宣伝をしていたから!
まるで自分の出演情報かと思うくらいに(笑)
コロナの影響で途中で公演中止になってしまった梅芸版ミュージカル「アナスタシア」 <オフィシャルHP> (anastasia-japan2020.jp)。
ご本人がディミトリとして生きたのは、たった3回。
作品への特別な思いもビシビシ感じる中で、同じ作品が宝塚版として上演されることへの期待感というか純粋に応援したい気持ちだったのかもしれない。
私自身、ありがたいことに梅芸版を観劇することができ、そのストーリーや舞台美術、衣装の素晴らしさ・演出そして音楽に魅了され3月以降BWのサントラをDLしたり公式PVを見て過ごす日々がしばらく続いていた。
コンサートで宝塚版の上演を知った以降、もし運よくチケットが手に入れば観に行きたいな~と、普段のチケット激戦ぶりを知らない私はほんのり考えていた。
しかし、季節は師走。
職場の監査も相まって、すっかりチケット発売を忘れ、宝塚大劇場公演が終了していることも知らないままに時期は既に東京公演を控えた12月中旬に突入していた。
そんなある日、Twitterのフォロワさんから
”宙組のアナスタシア東京公演に興味がありませんか?”
という旨のDMが届く。
まさに青天の霹靂。渡りに船。
ここから事態は大きく動きだす。